nt 2020-
東京都杉並区 中央線沿線駅から続く楽しい商店街の賑わいが落ち着き、大通りから枝分かれした小道に面する敷地に建つ夫婦と子、3人家族の住宅である。
周辺は昔からの世帯に新しい世帯が混じり、建物が更新されるのと同時に少しずつコミュニティも変化しながら、通りに暮らしの様子がにじみ出て穏やかな日常の風景を作り出している。
敷地は数軒の宅地割りの1つで、大通りからの距離に応じて用途地域が敷地を分断し、道路側2M程度は低層住居専用地域、それより奥が商業地域となっている。
そのため、必要なボリュームを確保しようとすると、用途地域に応じた北側斜線がボリュームを切り取る形で手前が2層、奥が3層となり、並んだ建物がほぼ同様の外形となって通りのファサードを形成する。
また南側は隣地の北側斜線によって空いた3階からのみ光が得られるが、1、2階では直射光を取り入れるのは困難で、3階は斜線に切られるために十分な床が確保できず、その結果リビングやダイニングなどの主室は自然と2階となり、これも並んだ住宅同様のプログラムとなることが予想される。
異なるのは車を所有していなかったため、通常は車庫となる1階の部分を他の用途にあてることが可能であったことだ。
クライアントの「お祭りの時にはかき氷をふるまえたら良いな」という近所のコミュニティとの関わりへの積極的な気持ちもあり、1階の道路に面した部分は用途を限定しない大きな土間のエントランスとし、通り側をすべて開け放てることも出来る建具を設置して通りと繋げられるようにした。
3階南側には大きな開口部を設け、2階へとすのこ状の階段とベンチで上下を繋ぐことで光を下階にまで届け、更に1階では階段の踊り場が縁台となりそのまま道につながる。
建物は木造の準耐火構造だが梁のみ燃え代を確保することで木をあらわし全体にリズムを与えている。
気候が良い時期には1階の扉を開け放ち、ワークスペースや遊び場、地域と繋がる余白として参加できる。商店街から1本入った通過交通の無い道ということも幸いして、夏にはこどもたちがこの土間と少し先の袋小路までを行き来して、小さな広場のように使い遊んでいたそうだ。
nt 2020-
用途: | 住宅 |
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敷地面積: | 52.18㎡ |
建築面積: | 35.34㎡ |
延床面積: | 82.61㎡ |
構造・規模: | 木造在来工法 地上3階 |
竣工: | 2020年3月 |
構造設計: | 坪井宏嗣構造設計事務所 |
施工: | 江中建設 |
Photo: | Norihito Yamauchi |